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事業の効果

この事業には大きく分けて以下の4つの効果があります。

1.移動手段の広がり

 高齢者がタクシーに慣れ親しむことで、タクシーという移動手段をより身近に感じてもらうことができ、高齢者の移動手段が広がります。
 高齢者がタクシーを使わない理由を実際に聞き取ったところ、以下の理由がありました。私たちは「タクシーという移動手段を高齢者が気兼ねなく使えるようになれば、かなりの移動弱者が救われる」と感じました。
 
【タクシーを使わない理由】
「ぜいたく」というイメージがある。
自宅にタクシーが来たら「なにごとか」と近所に驚かれてしまう。
呼び方が分からない。
近所の人に頼む。5千円くらい謝礼を払う。(一方で連れて行く側の住民からは「金目当てで送迎していると思われて困っている。お礼はいらないと言っても無理矢理渡される。」という声も聞かれました。)
自治会長に頼む。(一方で自治会長からは「事故があったときに困る」という声も聞かれました。)
スーパー前にタクシーを乗り付けたら、金持ちだと思われて狙われるような気がする。

2.交流

買い物終了後の交流
 「買い物に困っている」という同じ課題を持った高齢者同士が同じ目的を持って行動することで、自然と連帯感は生まれます。また、比較的近いエリアで相乗りを調整するため、共通の話題も多く、移動弱者の孤立を防ぐことができます。

3.介護予防

元気にカートを押す男性(94歳)
 買い物の「考えながら動く」という動作が高齢者の介護予防に繋がります。
 特売品を見て献立を考えたり、何を買おうと思っていたか思い出そうとしたり、買い物は常に頭を使いながら動き回ります。この「頭と体を同時に動かす」ことが買い物における大きな介護予防効果です。また「やらされている運動」ではなく「知らぬ間に動いている」という部分もポイントで、高齢者はストレスなく参加でき、継続性という観点からも効果的です。
 さらに、店舗は床がフラットであることに加え、買い物カートが手押し車の役割を果たすため、普段歩き慣れない人にとっても非常に歩きやすい環境です。

4.地域経済の活性化

 タクシー事業者と店舗にお話をうかがったところ、どちらも平日の午後1時~4時が最も客が少ない時間帯であることが分かりました。この時間帯を買い物時間に設定することで、企業側は無理なく利用者を受け入れることができます。
 また、普段店舗で買い物ができない高齢者が店舗を訪れることや、普段タクシーを使わない高齢者がタクシーを使うことで、売上の増加に繋がり、さらには企業イメージの向上にも繋がります。結果として、地域経済の活性化に繋がります。

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